物流センター鳥瞰パース!

西洋絵画は四隅まで描き込む絵が主流だそうです。それに対して日本の絵画は余白の美といって隅々まで描かない絵が多いらしいです。建築パースも知らず知らずのうちに日本的な伝統を引き継いでいたのかもしれません。

株式会社ドームという会社が約60年以上前に日本の建築パース発祥と言われています。この会社が解散した事で都内を中心にパースの事務所が増えたらしいです。この会社が編み出した手法が手描きパースの原点で間違いないと思います。自分が初めて勤務した会社もそのうちの一社に当たります。

3DCGに手描きパースの描き方で近隣を作成した鳥瞰パースです。この方法は恐らく日本独特のパース作成方法の一つです。近隣の風景を入れず主役の建物だけで仕上げる方法もありますが、絵全体が寂しい感じがします。
近隣の建物はエリアの位置関係と雰囲気を伝える為に必要だと思いますが、あまり書き込むと主役の建物が目立たなくなります。そのため近隣の建物は情報量を減らし箱で入れる訳です。また見ている位置から離れた遠景を更に薄めに入れる事により遠近感を強調します。古からある欧州の写実的な風景画も遠景を薄めにボヤ化して描く方法と同じ考え方です。遠近感を強調するのため見ている位置に近い手前の近景を多少具体的に入れると事により立体感を表現します。
また敷地や近景の道路にもタイヤ痕などの表情を書き込んだ方が絵に深みが出ます。

近隣の添景建物を箱で入れるのであればパース全体を四隅まで描かない方が主役の建物が引き立ちます。この場合はパース全体を観たときの上下左右の形も意外と重要です。添景をどこで切るかによって絵の印象が変わるからです。建物や道路などがこの先も続いている事を想像させる位置で切ると不自然な感じはしません。学生時代に習った連続性がこれに当たると思います。

CGパースが普及した現在では背景を四隅まで入れているパースが普通になっていますが、エリアを絞って描いた方がパース全体が呆けずに表現出来ると思います。また写真的なパースより絵画に見えるパースの方が注目されますので、この鳥瞰パースは手描き風に筆のタッチで仕上げました。手描きパースを永年経験してきた方法をCGパースに取り入れる事により新たなパースが作れる様になりました。

手を掛けるとユーザーは喜んでくれます。

物流センター鳥瞰パース
物流センター鳥瞰パース

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