建築パースはリアルCGだけでユーザーの心に響く?

リアルCGパースだけで「全ての」ユーザーの心に深く響くとは限らない、というのが現状でしょう。

リアルCGパースの大きな利点は以下の通りです。

●正確な情報伝達: 完成後の建物の形状、素材感、光の入り方などを非常に正確に伝えることができます。
●具体的なイメージの共有: 施主や関係者間で、完成イメージを具体的に共有し、誤解を防ぐのに役立ちます。
●説得力: 高度な技術で作られたリアルなパースは、プロジェクトの信頼性や先進性をアピールする力があります。

しかし、「心に響く」という観点では、リアルさだけでは不十分な場合があります。

●温かみや感情移入の欠如: あまりにもリアルで完璧すぎると、無機質で冷たい印象を与え、感情移入しにくいことがあります。生活感や人の気配が感じられないと、魅力が半減してしまうこともあります。
●想像力の余地のなさ: 細部まで描かれすぎていると、見る側の想像力が入り込む余地がなく、一方的な情報提供に終始してしまう可能性があります。
●没個性化の懸念: 高度なCG技術が普及したことで、似たようなテイストのパースが増え、他との差別化が難しくなっている側面もあります。

では、どうすれば心に響くパースになるのでしょうか?

●ストーリー性やコンセプトの表現: 単に建物をリアルに描くだけでなく、そこでどのような生活が送られるのか、どのような体験ができるのかといったストーリーやコンセプトを伝える工夫が必要です。
●「空気感」や「雰囲気」の演出: 光の表現、色彩、構図、添景(人物や小物など)の使い方を工夫することで、温かみや心地よさ、憧れといった感情を喚起できます。
●手描き風の要素の活用: 全てをリアルにせず、あえて手描き風のタッチを加えたり、写真とCGを効果的に組み合わせたりすることで、親しみやすさや芸術性を高めることができます。
●ターゲットに合わせた表現: どのような層に訴求したいのかによって、パースのテイストや表現方法を調整することが重要です。例えば、ファミリー層向けなら温かみのある雰囲気を、富裕層向けなら高級感や独自性を強調するなどです。

結局のところ、建築パースの目的は、単に完成形を見せるだけでなく、その空間が持つ価値や魅力を伝え、見る人の心を動かすことにあります。リアルCGはそのための強力なツールの一つですが、それだけに頼るのではなく、伝えるべきメッセージやターゲットに応じて、表現方法を柔軟に使い分けることが、より心に響くパースを生み出す鍵となるでしょう。

リアルCGの技術も日々進化しており、より感情豊かな表現も可能になってきていますが、手描きやアナログ的な表現が持つ「人の手の温もり」や「想像力を刺激する力」の価値が失われることはないと考えられます。