減税すると景気が良くなります。
消費減税が景気を刺激し、企業が人件費を上げられるようになる、というご指摘は経済学的な妥当性があるかと思います。しかし、経済界が消費減税よりも外国人労働者の増加を求める背景には、より複雑な要因が絡んでいます。
いくつか考えられる理由を以下に挙げます。
①コスト削減への強いインセンティブ:
●企業にとって人件費は大きなコストであり、特に競争が激しい業界では、コスト削減が企業の存続に直結します。低賃金で働く外国人労働者は、この人件費削減の強力な手段となります。
●消費減税による景気回復が人件費上昇につながるとしても、それは将来的な話であり、かつその上昇幅が企業の期待するコスト削減効果に見合わない可能性があります。
労働力不足の即効的な解消:
●日本は少子高齢化により、多くの産業で慢性的な人手不足に直面しています。特に、きつい、汚い、危険といった「3K」とされる職種や、若者が敬遠しがちな分野では、国内の労働力だけでは需要を満たせなくなっています。
●外国人労働者は、この喫緊の労働力不足を直接的かつ比較的迅速に解消できる手段として認識されています。消費減税が労働力不足を解消するまでには時間がかかり、またその効果も限定的である可能性があります。
賃金上昇への抵抗感:
●日本経済は長らくデフレに苦しんできました。その中で、企業は賃上げに慎重な姿勢を取りがちです。賃上げは一度行ってしまうと、業績が悪化しても簡単に引き下げることが難しいため、企業は固定費の増加に抵抗を感じます。
●外国人労働者の活用は、国内の賃金水準を大きく引き上げることなく、必要な労働力を確保できるため、企業にとっては魅力的な選択肢となります。
④構造的な問題への対処:
●消費減税は景気刺激策としては有効ですが、日本経済が抱える少子高齢化による構造的な労働力不足や、特定の産業における人手不足といった根本的な問題への直接的な解決策にはなりません。
●経済界は、より長期的な視点で、労働力不足という構造的な問題に対応するために、外国人労働者の受け入れ拡大を求めている側面があります。
⑤不確実性の回避:
●消費減税がどの程度の景気回復をもたらし、それがどの程度賃上げにつながるかは不確実な部分があります。
●一方で、外国人労働者の受け入れは、必要な労働力を比較的確実かつ直接的に確保できる手段であると企業は考えているのかもしれません。
もちろん、外国人労働者の受け入れには、社会的なコストや課題も存在します。しかし、経済界、特に労働集約型の産業を営む企業にとっては、目先のコスト削減と労働力確保という観点から、消費減税よりも外国人労働者の増加が優先順位の高い要求となっていると考えられます。
まとめると、経済界が外国人労働者の増加を求めるのは、単に「低賃金だから」というだけでなく、労働力不足の解消、コスト競争力の維持、そして将来的な人件費上昇への抵抗感といった、複合的な要因が絡み合っているためと言えるでしょう。
